死の経済学-Death Economy

砂漠思考

「砂漠思考」へようこそ!突然ですが人は皆死にます。あなたも私もいつの日か。今回は、そんな人間の死を扱う経済学分野をご紹介します。

死の経済学-目次

  1. 医療経済学
  2. 労働経済学
  3. 公共経済学
  4. 行動経済学

医療経済学

 医療経済学の分野では、死とコストについて医療の視点から考えます。具体的には、「医療にどれだけお金を使うべきか」「延命治療はどこまで正当か」「限られた医療資源をどう分配するか」などの問いを経済学を使って考えていきます。

 具体例を考えていきましょう。あなたはがんと診断され、医師から2ヶ月の余命宣告を受けました。抗がん剤を使えば余命が3ヶ月延びます。しかし、その費用は1000万円と非常に高額です。さて、あなたならどうしますか?実際にはもっと複雑で、家族の有無やその時の感情で選択は大きく変わるでしょう。そもそもお金がないと延命できないし、仮にお金があったとしても社会全体で見たらもっと需要のある人々がいるかもしれません。なぜなら薬の数も有限だからです。

 この分野では「1年間生き延びる価値はいくらか」を示すQALYという指標があります。命をお金に換算するというと聞こえは悪いですが、個人的にはそこに面白さを感じます。

労働経済学

 この分野では、補填賃金差(=危険手当)という概念を用いて危険な仕事ほど給料が高い理由を分析します。例えば深海に潜って海底パイプなどの整備をする飽和潜水士という職業はとても給料がいいと聞きます。海中ではいつ事故が起こるかわからないし、深海の水圧に適応するのにもかなりの労力を要します。泳げない僕からしたら本当に恐ろしい。

 この分野の存在を考えると、人は無意識に「命のリスク」と「お金」を交換してることがわかります。しばしば時間を切り売りして働くと表現しますが、言い換えれば命を切り売りしてると言えるでしょう。書いているだけでゾッとしました。

 命は平等だと思いますが、命の市場価格が国や職業によって異なるのは事実です。冷酷ですが、とても考えさせられる分野ですね。

公共経済学

 簡単にいうと、公共経済学の分野は政府が何人救うかを決めます。具体的なテーマは、交通事故対策や災害対策、医療経済学につながる制度も扱います。

 例えば、政府が事故防止の予算に100億円の税金を設定したとします。この対策を打てば10人の命が救えます。この場合、単純計算で1人当たり10億円かかることになります。ここでの問いは、この「10億円という値段は適切か」ということです。
 他の政策にお金を使って欲しいという人もいれば、一人でも多く救えるに越したことはないという人もいるでしょう。このような問題の意思決定は難しいですが、ここに理論的な物差しを提供するのがこの学問の役割です。

 「命の優先順位」という問題は昔から議論されてきたことですが、完全に正解がなく、それを決めるのは社会です。倫理・政治・経済が交差するところに公共経済学は位置します。

行動経済学

 今や行動経済学はビジネスマンの必須知識と言われるほどスタンダードのなっています。また、多くのテーマが日常の行動に即しているので人気の学問でもあります。

 人の死に関わる判断はさまざまです。飛行機事故を過剰に怖がる人、生活習慣病を軽視する人、将来的なリスクより現在の快楽を優先する人。客観的に見ると不合理に思えるようでも、私を含め多くの人がこのような認識をしているでしょう。このような認知の歪みやバイアスを分析していくのがこの学問です。

 死は目の前にすると恐ろしいものに思えますが、普段は日常から遠ざけられています。死を合理的に考えにくいのはそのためでしょう。

まとめ

 今回ご紹介したどの分野も人生が有限であることを前提になり立っています。そもそも、経済学の対象となる条件には資源が有限であることが重要なのです。

 これからも記事を更新していくので、楽しみにしていてください!

コメント

タイトルとURLをコピーしました